心因性EDと器質性EDの原因の違い

男性の勃起機能は、加齢とともに衰えていくものですが、加齢が原因ではなく、病気やストレス、運動不足、不規則なライフスタイルなどの要因によって引き起こされるものがあり、勃起不全と呼ばれています。勃起不全はその原因の違いにより、器質性EDと心因性EDに区別されています。
さて、器質性EDは、動脈硬化、外傷や手術、神経障害、ホルモン異常といった外的要因を原因として発症するもので 、陰茎の血流が悪化することで引き起こされます。その中でも、動脈硬化は日本人に非常に多い病気ですが、主に生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症など)が原因で発症し、進行すると動脈内部が細くなり血液が悪くなることで、勃起不全を併発します。裏を返せば、勃起不全が発症したら、動脈硬化にもなっている可能性が高いと言えます。
また、外傷や手術によっても器質性EDは発症します。勃起は副交感神経を刺激することで起こりますから、例えば、骨盤や脊椎の損傷、前立腺や直腸、膀胱など骨盤内の臓器の手術を受けた際、血管や神経を損傷し器質性EDを発症することがあります。
また、糖尿病性神経症、パーキンソン病、脳卒中など、神経に悪影響を及ぼす病気も器質性EDの原因とされます。さらに、テストステロンは筋肉増強や血管機能を正常に保つ作用がある男性ホルモンですが、過度なストレスなどにより、急激に減少してしまうと器質性EDを引き起こします。
こういった器質的原因には、全く心当たりがないにもかかわらず、勃起不全が認められる人は、心因性EDの可能性が非常に高く、深層心因タイプと現実心因タイプのどちらかに分類されます。
深層心因EDは、幼少期から青年期におけるトラウマ、肉体的又は精神的なコンプレックス、性交渉におけるプレッシャーが原因であり、カウンセリングなどメンタルケアが必要です。
現実心因EDは、日常生活におけるパートナーとのトラブル、職場や人間関係の中で生じるストレスや過労が溜まっていくことで引き起こされます。
一般的に自律神経は、交感神経と副交感神経の双方がバランスよく作用することで成り立っていますが、ストレスや過労が溜まると交感神経が活発になり、勃起に大きな影響を及ぼす副交感神経の働きを抑えてしまうことから勃起不全に現実心因EDになります。
このように、同じEDでも器質性EDと心因性EDでは、その原因に大きな違いがあることがわかります。どちらかというと器質性EDは、その真因が明確であるため治療しやすいと言われています。
一方の心因性EDは、過去のトラウマが原因だとしても、その真因を特定することが困難であり、治療にはある程度の時間が必要となります。

心因性の場合は薬に頼るより考え方を変えるのも効果的

勃起のメカニズムが正常に働くためには、身体的に健康であることは当然として、精神的にも健康な状態であることが必要不可欠であり、血流の悪化といった外的な問題を原因とする器質性 ED とは違い、精神的な問題を原因とする心因性ED は、個々によってそれぞれ事情が異なりますから、まずはその原因を解決していくことが重要になります。
心因性EDの治療には、まずは過去のトラウマや、ストレスや過労の原因など、勃起不全を引き起こしている事実を探し出すことから始めます。
これは医師とのカウンセリングや行動療法など、心理学的なアプローチを軸としながら進めていくものですが、人それぞれに事情が異なりますから、ある程度の時間がかかってしまいます。そこで、最近では薬による治療も進められています。
日本ではバイアグラなどの血流拡張作用が認められている治療薬が多く使用されていますが、治療薬を服用して性交渉に挑むことによって「今日は薬を飲んでいるから大丈夫」といったように、治療薬そのものの作用よりも、トラウマの解消や、自分に自信が持てるといった精神的な作用を期待して服用するものです。もちろん、実際に血管拡張作用によって、勃起力は強化されていますので、心因性 EDでもその効能を期待できます。
しかしながら、心因性 ED の人が、 治療薬を服用することで、性交渉時の勃起力が回復すると、それに頼り切ってしまい、治療薬がなくなると、「性交渉が上手くいかなくなるのでは」といった新たなトラウマを生じさせてしまうこともありますから、注意が必要です。
一番良いのは、治療薬などを頼りにせず、自分の考え方を変えるのも大切です。これは、パートナーの協力が不可欠ですが、多くの男性は「女性を満足させたい」という考え方が強く働いており、常に「満足していないのでは?」と不安になってしまうものです。
そこで、最近では性交渉の問題に特化した「セックス・セラピー」が開催されています。これは、カップルで参加し、二人の問題点を洗い出して、EDやセックスレスなどの問題を克服しようというもので、性交渉に対する考え方を変えるという点でも有益な方法です。